電車乗り遅れ事件

我が家の長男、三千里(仮名)。4歳、一人称「おれ」。とにかく元気いっぱいで、家族でお出かけのときはいつも最寄り駅まで一人自転車。(家族は徒歩。)愛車の「マジレンジャー号」でびゅーん、と風を切っていく、彼のジャケットの後姿に書かれた「ROCKET BOY」のロゴを見るたび、ぴったりだ、と笑ってしまいます。

ゴールデンウィーク初日、上野動物園へ行こうというその日も、やっぱり三千里はマジレン号で一番に飛ばしていきました。
駅のホームに上がってからも、端へ向かってダッシュ!(先頭車両に乗りたいのです。)
旦那さんが三千里を追いかけているうちに、電車が到着。階段と柱と人ごみのせいで、三千里の姿は確認できなかったけど、旦那さんがこっちを見ながら乗車するのがわかったので、私は暴れる小万里(反抗期)を抱きかかえて、後方の車両に乗り込みました。
「さ、お兄ちゃんたちのとこに行こう」と前の車両に移動している途中、なぜか向こうからやってくる旦那さん。
一人でやってくる彼の姿を見た時点で、すでに嫌な予感はひしひしとしていたのですが。
三千里乗ってない。駅だ
ががーーーーん。
「あのバカ、乗ったり降りたりしてたんだよ…」
一人乗り遅れたらしい我が息子。おろおろする私に対して、旦那さんはとりあえず見た目は比較的冷静。
「俺が一度駅にひきかえすから、千里は次の駅で下車して、後からくる電車に乗ってないかみてて」


そして駅到着。やってきた次の電車には…乗ってなさそう…と先頭車両あたりで目をこらして、電車が正に発車せんというとき、旦那さんから着信。
「その電車乗って!三千里がいるかも」
あわてて運転手さんの窓を叩いて「とめてください!子どもが乗ってるかもしれないんです!」(多分かなり必死の形相)
運転手さんは車掌さん?に連絡して、一度しまったドアを開けてくださいました。
本来ご迷惑をおかけした乗客の皆さんに頭を下げてまわるべきだったのかも知れませんが、あの時は必死で、中に駆け込むなり電車をダッシュして息子の姿を探しました。全車両の半分くらいまで駆け抜けましたが見つからず、そうこうしてるうちにまもなく上野。
旦那さんに電話しましたが、
「三千里が上野で降りるかもしれないから上野で下車して後から来る電車に三千里いないか見てて」
との指示。まだ見つかってないんだ…!
上野までの間、少しでもこの電車を見て回らなきゃ、と焦るあまり、通話の間下ろしていた娘を抱き上げる時、自分のスカート捲り上げてしまったくらいでした。(あの時はそれでも恥ずかしがる余裕もないくらいパニクってました…)
上野で下車して、その後くる電車をずっと見てましたが、私の動体視力じゃ全部見えないよ、三千里が乗ってて降りないまま延々山手線回り続けたらどうしよう、誘拐されたら線路に落ちたら…ととにかく気が気でありませんでした。
しかしやがて、始めの駅の駅員さんに預かってもらえてた、という旦那さんからの電話があり、胸を撫で下ろしたのでした。


合流した上野で、ベンチに座り込む旦那さん。「疲れた…」。
彼も内心相当あせってたようです。うん、私もすでにかなりの体力消耗したよ…。
それでも子どもはお構いなしに、ようやくたどり着いた動物園ではしゃぎまくっておりましたが、いつも突っ走っていく三千里も、この日だけはやたらに手を繋ぎたがりました。
さすがに不安だったようです(苦笑)

ゴールデンウィークはこの後も、ボウケンレッドと写真を撮ったバンダイミュージアム、人口密度はディズニーランドを凌駕していた浅草花やしきetc…とあちこち外出しましたが、初日のこの事件がやはり一番の思い出です。
子どもとのお出かけって、どこに行くか、以上に、そこで何が起こるか、どう過ごしたか、の方が印象に残る気がします。
旅行や外出ってなんでもそういう側面があるんでしょうけど、とりわけ。